媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Polymer
著者:Qi Kang, Hiroaki Takehara and Takanori Ichiki
カンファースルホン酸プロトン化ポリアニリン/ポリ(ビニルアセテート)複合フィルムの電気伝導性および化学特性の特性評価
本研究では、ポリアニリン(PANI)/ポリビニルアセテート(PVAc)/カンフルスルホン酸(HCSA)複合フィルムの電気伝導性を調査しました。フィルムはスピンコーティング法で作製されました。内因性絶縁体であるPVAcは複合材料の導電性を低下させると考えられていましたが、PVAcの存在は、特定のPVAc濃度範囲内でHCSA/PANI重量比が1.50未満のときに、導電性の異常な増加をもたらしました。PANI/PVAc/HCSAフィルムは、PVAc濃度が40 wt %で、HCSA/PANI重量比が1.25のときに最大電気伝導率1.65 S/cmを示し、同じHCSA/PANI重量比でのPANI-ESフィルムの0.5 S/cmと比較されました。この異常現象を調査するために、FTIRおよびXPSによって化学構造が分析されました。PANIの–NH基とPVAcの–OOCCH3基との間の水素結合相互作用が、PANI内の電荷密度移動およびN原子の分極に影響を与え、プロトン化レベルを変化させ、複合フィルムの導電性を向上させることが分かりました。さらに、PANI/PVAc複合フィルムは多孔質で無定形の構造を示しました。したがって、高い電気伝導性と多孔質構造を持つPANI/PVAc複合フィルムは、バイオセンシングへの応用において有望な候補となる可能性があります。
http://doi.org/10.1016/j.polymer.2023.126269