研究成果

学会

媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Journal of Controlled Release

著者:Xin Shen, Anjaneyulu Dirisala, Masahiro Toyoda, Yao Xiao, Haochen Guo, Yuto Honda, Takahiro Nomoto, Hiroyasu Takemoto, Yutaka Miura and Nobuhiro Nishiyama

DNA送達を目的としたpH応答性ポリ双性イオン被覆ナノキャリア

遺伝子治療成功の鍵は、体内で治療効果を達成するための遺伝子担体が握っています。ポリエチレングリコール(PEG)の表面シールド、すなわちPEG化は、血中循環を延長し、体内での治療効果を改善するための主要な戦略です。しかしながら、PEG化はしばしば、標的細胞の細胞膜との相互作用を減少させることにより、トランスフェクション効率を損なうため、細胞内取り込みやその後のエンドソームからの脱出を妨げることがあります。ここでは、エチレンジアミンベースのポリカルボキシベタインで表面を覆った段階的なpH応答性ポリプレックスミセルを開発し、プラスミドDNAの送達を行いました。このポリプレックスミセルは、pH 7.4では中性から、腫瘍およびエンド−リソソームのpH(すなわち、pH 6.5および5.5)で陽性に表面電荷を切り替え、細胞内取り込みを促進し、効率的な遺伝子トランスフェクションに向けてエンドソームからの脱出を助けました。さらに、このポリプレックスミセルは血中循環を延長し、腫瘍への蓄積を増加させ、抗血管新生遺伝子を送達することで腫瘍成長抑制に高い効果を示しました。これらの結果は、効率的な核酸送達のためのポリプレックスミセルの表面にpH応答性の電荷切り替え可能なシェルポリマーの有用性を示唆しています。

 

http://doi.org/10.1016/j.jconrel.2023.07.038

 

 

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