媒体の種類:医薬業界
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:医薬通信社
mRNAの脾臓送達システム開発 より効果的なワクチンへの実用化に期待
研究開発課題2に所属する内田智士博士(東京医科歯科大学教授)の研究グループは、ナノ医療イノベーションセンターや複数の大学との共同研究で、脾臓にmRNAを送達するナノ粒子を開発し、その有用性を実証しました。このシステムはマウスで優れたワクチン効果を示し、今後がん免疫治療などへの応用が期待されています。
従来の脂質性ナノ粒子は肝臓に移行しやすく、副作用を引き起こす可能性がありましたが、高分子ナノ粒子はこれらの課題を克服する手法として注目されています。研究チームは、mRNAとPEG修飾RNAを結合させることで、ナノ粒子の表面のPEG密度を精密に制御する方法を開発しました。適切なPEG密度のナノ粒子は、脾臓の細胞に効率的にmRNAを送達し、抗原提示細胞に取り込まれることが確認されました。
ワクチンとしての機能評価では、強い細胞性免疫が誘導され、がん細胞を殺傷する能力が期待されます。mRNAをナノ粒子に搭載することで、分解から保護し、標的臓器に送達することが可能になります。今回の研究は、高分子を用いた新しいmRNA送達システムの有用性を示しており、今後の安全で効果的なワクチン開発の基盤となることが期待されています。
http://iyakutsushinsha.com/2024/03/06/mrnaの脾臓送達システム開発%E3%80%80より効果的なワクチ/
http://doi.org/10.1002/smsc.202300258