研究成果

報道

媒体の種類:バイオ工学系専門誌
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:日経バイオテク

裸のmRNAワクチンが霊長類で免疫誘導、iCONMの内田ラボ長らが確認

要約:

研究開発課題2に所属する内田智士博士(東京医科歯科大学教授)らの研究グループは、脂質ナノ粒子(LNP)を使用しない裸mRNAワクチンの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する免疫誘導効果をマウスおよび霊長類で確認しました。この研究は2024年4月3日、Molecular Therapy誌に発表されました。

従来のmRNAワクチンはLNPを利用しており、これは免疫細胞への効果的な送達や副反応の増強に寄与していますが、発熱や腫れなどの副作用も報告されています。そこで、研究グループは、LNPなしで皮膚に直接投与する裸mRNAワクチンを開発しました。ジェットインジェクターを使用して、マウスにモデル抗原をコードするmRNAを投与したところ、LNPと同等の抗体産生効果が確認されました。また、CD4陽性およびCD8陽性T細胞の誘導も成功しました。

SARS-CoV-2を投与したマウスでは、事前に裸mRNAワクチンを接種した場合、肺のウイルス量が有意に低下し、肺炎の症状も軽減されました。さらに、カニクイザルでも副反応なく効果が実証されました。裸mRNAは投与部位に留まるものの、抗原提示細胞がリンパ節に移行することが観察され、これがワクチン効果に寄与していると考えられています。

ジェットインジェクターによる一時的な炎症がリンパ球を呼び寄せ、免疫効果を高める「物理的アジュバント」として機能した可能性も示唆されています。

 

http://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/24/04/04/11769/

http://doi.org/10.1016/j.ymthe.2024.03.022

 

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